麦粒腫(ばくりゅうしゅ) 俗に「ものもらい」「めばちこ」とも呼ばれます。 まぶたの一部が、麦の形に晴れることから「麦粒腫」という病名がつきました。 眼瞼の縁や内側の腺組織に、細菌感染から起こる化膿性の炎症で、まばたきをすると痛い、眼瞼が赤く腫れる、触ると痛い、腫れの中心に膿(うみ)による白い点ができるなどの症状があります。 こすったりすると炎症が周囲に広がり治りが遅れるので触らないようにしてください。 化膿した場合は切開して膿を出すと早く治ります。
霰粒腫(さんりゅうしゅ) 涙の脂成分を分泌する腺組織(瞼板腺またはマイボーム腺)が詰まり、炎症を起こす病気です。 霰粒腫の霰とはあられを意味し結膜にあられの粒ような小さなしこりができるので「霰粒腫」という病名がつきました。 この小さなしこりは自然に治ることもありますが、通常は少しずつ大きくなっていきます。 しこりが大きくなった場合には、まぶたの裏側から切開し霰粒腫を包んでいる袋ごと摘出します。 高齢者にこのような症状が出た場合には、ごくまれに癌の可能性がありますので注意しましょう。
眼瞼下垂(がんけんかすい) 眼瞼(まぶた)を上げる筋肉を眼瞼挙筋といいます。 この眼瞼挙筋の力が弱くなって上まぶたが上がりづらく、垂れ下がったままの状態を眼瞼下垂と呼びます。 その原因としては、先天的には眼瞼挙筋が発育異常を起こしたものがあります。 後天的なものとしては何らかの原因により、眼瞼挙筋を引き上げるする神経が麻痺して起きたもの、加齢に伴い眼瞼挙筋の筋力が弱くなり起こるものがあります。 先天性眼瞼下垂 片眼だけに起こることが多く瞳孔が眼瞼で完全に隠れ、目をつぶった様になっている場合は、弱視になる危険性があるので早い時期の手術が必要となります。 まぶたの間から瞳孔が見える場合には視力には影響がありませんので見た目の改善の手術となりますが、気にならない場合は幼稚園や小学校に上がってからの手術でもかまいません。 治療法としては眼瞼挙筋を、手術で小さくたたんで筋肉の張力を回復させる治療をします。 後天性眼瞼下垂 後天性眼瞼下垂の中で一番多いのは、老人性眼瞼下垂です。 老化現象が原因でおこります。老化により挙筋腱膜( 筋肉の末端) の弛緩や断裂がおこり、眼瞼挙筋の力が十分に伝わらないことが原因となります。 その他には脳の病気や怪我、糖尿病が原因でおこるもの。 コンタクトレンズを長期使用することによっておこるものなどがあります。 後天性では原因となる疾患がある場合、その疾患自体を治療することが必要となります。 薬物治療を致しますが、薬の効果が見られないときには手術ということになります。
睫毛内反症(しょうもうないはんしょう) 眼瞼内反症(がんけんないはんしょう) 睫毛内反症(俗にいう逆さまつげ)は、赤ちゃんの下まぶたによく見られるもので、まぶたの皮膚が余っているために、まつげが眼球のほうに向いてしまう病気です。 程度が軽い場合は成長につれて自然と治ってくる場合が多いので、1~2歳くらいまでは目ヤニの多いときに点眼薬をつけながら様子を見ます。 成長しても改善が見られない場合は手術を行います。 眼瞼内反症は、まぶたが内側に向いているために、まつげも眼球側に向いてしまう病気のことで、最も多いのは高齢者に多い老人性内反症です。 これは、まぶたを閉じる筋肉(眼輪筋)がずれ上がることが主な原因で、まぶた全体が眼球側を向いてしまうものです。 痛みも強いため、手術が必要です。手術には、まぶたを切開して瞼板に縫いつける方法もありますが、老人性内反症の場合は、眼輪筋そのものを切除したり、縫い縮める方法が用いられることがほとんどです。